初回生産限定盤/UHQCD
ケンプの奏でるブラームスは、あたかも長い熟成のときを待って生みだされた古酒のように豊穣な味わいに満ちており、えも言われぬ広がりが感じられます。そこには枯れた響きや渋味は一切なく、瑞々しく芳醇でたっぷりとしたコクがあり、聴き手を豊かな満足感で満たすのです。これはケンプが人間的に、また精神的に到達した境地と深く結びついており、同世代のほかのピアニストとも一線を画す彼だけのブラームスといえましょう。さらに、独自のロマンティシズムも失われることなく全面を覆い、聴き終えたあとに至福の時が訪れるのです。 (C)RS