初回生産限定盤/UHQCD
ケンプにとってバッハはベートーヴェンとは別の意味で重要な存在でした。彼の祖父、父、兄はいずれも教会のオルガニストや楽長を務め、少年時代からバッハの音楽、特にオルガン曲とカンタータに強い影響を受けました。実際、ピアニストとしてだけでなく、青年期にはオルガニストとしても演奏活動を行っており、95年の人生で培ってきたバッハへの造詣の深さが晩年の録音で開花したといえるでしょう。ここに聴くケンプのバッハは技巧や誇張を超越し、限りないまでに敬虔で気高い精神に満ちており、その澄んだ一音一音の表現に深い感銘を誘われる彼独自の世界となっています。 (C)RS