デビュー10周年を迎えた上野耕平の卓越した技巧と熟成された表現力で奏でる人生のうた。自身初録音のソプラニーノからバリトンまで上野の手にかかれば、サクソフォンという楽器は一音一音が息づくように響き、歌うかのように、時に喋るかのようにうごめきだす。最強の11人のアンサンブルを従えたイベール作品ではスリリングな音の交差や、多幸感が存分に響きあう。上野が信頼を置くピアノ:山中惇史とのデュオで贈る映画音楽をはじめとする多彩な作品、更にはバンドネオン:三浦一馬が加わったピアソラ作品でもサクソフォン特有の表情豊かな音色がそれぞれの楽曲に新たな生命を吹き込む。孤独や郷愁を感じさせる寂寥感、そしてその先に広がる解放や希望、出会い。人生のさまざまな瞬間と共鳴し、日常のひとときを温かく彩る、いまの上野耕平を記す一枚が堂々完成。クラシックサクソフォンの新たな可能性を追求してきた上野耕平の情熱が込められたこの作品集をぜひお楽しみください。 (C)RS