リヒャルト・シュトラウスとシュターツカペレ・ドレスデンの組み合わせはいつも特別な意味を持っていた。ドレスデンのゼンパーオーパー(国立オペラ劇場)で毎晩演奏しているシュターツカペレは、≪サロメ≫や≪エレクトラ≫、不朽の名作≪ばらの騎士≫など、このミュンヘン生まれの作曲家の9つのオペラを初演した。シュトラウスのオペラと管弦楽作品はシュターツカペレ・ドレスデンのレパートリーにしっかりと根づき、カール・ベーム、ルドルフ・ケンペ、ジュゼッペ・シノーポリが指揮をしたシュトラウス作品の録音によって、シュターツカペレはシュトラウスのオーケストラの名声を数十年にわたって保ってきたのである。ここにファビオ・ルイージの新録音が加わることになった。最近ではNHK交響楽団を指揮して名演を次々に生み出すルイージにとってR.シュトラウスは非常に重要な意味を持つ作曲家である。そのシュトラウスの名作交響詩「英雄の生涯」を、ルイージは伝統と格式を誇るオーケストラのいぶし銀のような香りたつサウンドで見事に描き出してみせる。 (C)RS