東京クヮルテットならではの豊麗な20世紀音楽演奏。日本未発売のボーナス・トラック付き。
1992年に収録された、20世紀弦楽四重奏曲の名作3作。東京クヮルテットとしてはいずれも唯一の録音である。武満徹の「ア・ウェイ・ア・ローン」は、東京クヮルテット創立10周年を記念して委嘱され、武満の好んだ海をモチーフにした作品。アメリカ音楽のリリシズムを掬い取ったバーバー唯一の弦楽四重奏曲は、有名な「弦楽のためのアダージョ」の原曲。ブリテンの第2番は、1945年の「ピーター・グライムズ」の成功の直後の作品で、憂鬱、皮肉、そして黙想といった作風が時代を反映している。委嘱作だけあって細部まで自家薬籠中のものとした自信に満ちた武満をはじめ、作風の異なるバーバーとブリテンにも、緻密で聴きごたえ十分の解釈を聴かせてくれる。
ボーナス・トラックのバーバーの歌曲「ドーヴァーの渚」、1994年に録音され、1998年にマリリン・ホーンのアメリカ歌曲集の中でリリースされた貴重な日本未発売音源。弦楽四重奏伴奏による歌曲という、バーバー初期の傑作である。
【録音年、収録場所】1992年4月(バーバー)、1992年5月(ブリテン)、1992年6月(武満)、ニュージャージー、プリンストン大学リチャードソン・オーディトリアム、1994年2月20日、ニューヨーク、マンハッタン・センター(ドーヴァーの渚)