筆記具の基礎知識

万年筆の魅力
万年筆の原形は中世ヨーロッパで広く使われた羽ペンといえる
現在の万年筆の元祖は、イギリスのフォルシュが1809年に発明したもので、金属のペン先を持ち、 インクを軸の中に貯えてバルブの開閉でペン先へ送り出す構造になっていた。毛細管現象を利用した インク誘出方式の万年筆は1884年にアメリカのウォーターマンによって発明され現在に引き継がれている
万年筆はペン内部にインクを貯蔵できる壺(ファウンテン)構造が考案されたことから始まりため「ファウンテンペン(Fountauin-PEN)と呼ばれています
万年筆の魅力を語る上で欠かせないのがその書き味です
滑るような書き味は、他の筆記具では決して味わうことが出来ない魅力と言えます
また、インクを補充する限りは一生使うことが出来る値打ちのある道具とも言えます
ブランド、ペン先、デザイン等々各部に拘って選んで愛着を持ってお使いいただけます
もう一つの魅力はそのインテリジェンスな雰囲気ですね
指輪は恥ずかしくて出来なくても、時計や鞄・靴と同じくセンスを演出するアイテムとして素晴らしいアイテムとなります。胸ポケットに挿しているだけでもポイントが高いですし、カードや契約書のサインの時などにさり気なく使うと、その場の雰囲気を引き締めてくれますね

万年筆のペン先の種類

輸入万年筆のペン先の線は、一般的な国産の同表示のものより、やや太いモノが多くなります。「F」の細字で一般的なモデルの「M」より少しだけ細い感じとなります
手作りの品の場合は個体差があります。メーカーや生産国の基準によっても異なります
一般的には「M(中字)」が最も標準的な太さで、初めての方にはお勧めです
ペン先が細いほど硬質に、太くなるほど柔らかな書き味となります
長時間の随筆には疲れにくい、太めの「B(太字)」「BB(極太字)」がお勧めです
EF:EXTRA FINE(エクストラファイン)極細字・・(手帳・英文・細かい文字)
F: FINE(ファイン)細字・・(一般向け細字)
M: MEDIUM(ミディアム)中字・・(一般向け標準字)
B: BROAD(ブロード)太字・・(一般向け太字・原稿用紙・署名)
BB: BROAD BROAD(ダブルブロード)極太字・・(和文・原稿用紙・署名)
筆跡を楽しむカリグラフィ用のペン先など、特殊な呼び方がされているものもあります
OM: OBLIQUE MEDIUM(オブリークミディアム)傾斜中字
OB: OBLIQUE BROAD(オブリークブロード)傾斜太字
OBB: OBLIQUE BROD BROAD(オブリークダブルブロード)傾斜極太字
MI:MEDIUM ITARIC(ミディアムイタリック)イタリック文字
ST:STUB(スタッブ)スタッブ文字



万年筆の主要部位の名称


万年筆のインクの補充方法

昔の万年筆のインクは、スポイトを使って首軸に補充する方法が主流でした。スポイトを使った補充は、手や服を汚したり、時間と手間もかかるものでした
現在では万年筆自体にインクを吸い込む機能を備える「自動吸入式」やワンタッチの「カートリッジ式」となり扱いやすさは格段に向上しています
吸入式 ペンに内蔵されている構造を利用して、ボトルインクよりインクを吸い上げ、ペン内部にインクを貯める方式
古くより使用されている方法で、手間はかかりますが、その分愛着が沸きより万年筆の魅力が満喫できるのが魅力
一度に大量のインクを吸入できるのも魅力で、多量の書き物をされる方や、太字がお好みの方におすすめです
カートリッジインク式

装着するだけで、インクをペンに供給する事のできる使い捨てのカートリッジ式のインクタンク。簡単に装着できるので、万年筆の携帯に便利

カートリッジ式でヨーロッパタイプと呼ばれるものは、メーカー問わずご使用できます

カルティエ、デルタ、ファーバーカステル、モンテグラッパ、ペリカン、ロットリング、スティピュラ、ビスコンティ
コンバーター式

インク吸入機。取り外し可能なインクタンクでインクを吸い上げ、 ペン内部にインクを貯め、使用できる器具です。
近年の主流の方式で、カートリッジ/コンバーター両用式となっており、カートリッジインクの代わりに、コンバーターを装着しご使用可能


万年筆の注意点

インクは、化学合成品ですので、異なるメーカーのものを混合すると、成分が反応して凝固や固着する恐れがあります。他社製に替える場合はペンを十分に洗浄してからご使用ください
購入したての万年筆は、製作過程の油分がペン先に付着し、出が悪いケースが多く、しばらく使用していると自然に書きやすくなります
なかなか改善されない場合は、ペン先を洗浄することでほとんどの場合解決いたします。万年筆のメンテナンスを参照ください
(熱湯や洗剤、薬品にはつけないでください、部品を傷める原因になります)

万年筆のメンテナンス

万年筆のトラブルでは”インクの出が悪くなる”というような事が起こります
このようなトラブルの原因はペン先が乾いてしまう事により、インクに含まれるカーボンがつまてしまうことで起こるもので、全く書けなくなってしまう場合もあります
原因としては、インクを入れたまま長期間放置したり、キャップがキチンと閉まっていなかったりすると発生しやすくなります
ほとんどの場合は下記メンテナンスで解決しますのでお試しください
頑固な汚れの場合はメンテの前に数時間〜一晩、ペン先を水に浸けてから行ってください
インクの色を入れ変えられるときや違うメーカー製のインクを使われる場合は、一度綺麗に掃除してから新しいインクを入れてください
より快適に万年筆をご使用いただくために、3ヶ月〜6に一度は、掃除されることをお勧めいたします
(熱湯や洗剤、薬品にはつけないでください、部品を傷める原因になります)
用意するもの

コップ / キレイな水かぬるま湯 / やわらかい布

吸入式 コップに水をご用意していただき、水の中にペン先全体を入れて、万年筆の吸入機能を利用して、水を吸い込ませたり、吐き出させたりを繰り返し、万年筆内部を洗浄します
水が汚れなくなったら、洗浄完了、軟らかい布や紙で、水を拭き取ってください
カートリッジインク式 カートリッジを抜き、ペン先と首軸を、水で軽く濯いで、水を満たしたコップに沈め、数時間〜一晩放置してください
水の汚れがひどい場合は、その都度水を交換して下さい
汚れた水のまま、放置されますとサビや金属のくもり等の原因になりますので、ご注意下さい
水が汚れなくなったら、洗浄完了、軟らかい布や紙で、水を拭き取ってください
コンバーター式 コップに水をご用意していただき、水の中にペン先全体を入れて、コンバーターの機能を利用して、水を吸い込ませたり、吐き出させたりを繰り返し、万年筆内部を洗浄します
コンバーターを抜き、ペン先と首軸(ペン先の付いた部分)を、水で軽く濯いで、水を満たしたコップに沈め、数時間放置してください
水が汚れなくなったら、洗浄完了、軟らかい布や紙で、水を拭き取ってください






ボールペン(油性)
ボールペンはアメリカのジョンラウドが1884年に発明したといわれる
1943年、ハンガリーのラディスラオ・ピロが粘度の高いインクを用いた現在のボールペンの原料を考案した
特   性:
筆跡には耐水性があり、にじみにくく、耐光性にもすぐれています
おすすめ:
高筆圧にも耐えられるので、ノンカーボン紙などの多数枚複写時の筆記に適しています
ボールペンのペン先(チップといいます)は、機械式の腕時計の部品と同様の精密加工機によって、ミクロン単位の加工精度で仕上げられています。このチップの加工精度から、ムラのない描線となめらかな書き味は生まれるのです
ボールペンで物を突いたり穴を開けたりといった筆記以外の使い方をすると精密加工の精度が狂い、ボールが回転しなくなったりインキが出過ぎるようになったり、することもあるので注意してください
ボールペンの主要部位の名称


ボールペンの替え芯について
ボールペンは芯を替えることにより常に新しいペン先となるため書き味が変わることはありません。インクが無くなったり、ペン先を傷めてしまっても手軽に復活させることが出来ます
芯にはペン先の太さが何種類か用意されているので、用途に応じて使い分ける事が出来ます
インクのカラーも複数色用意されているので好みや用途に合わせて選べます。通常は2〜3色「黒・青・赤」ですが特殊な色を用意しているメーカーもあります「ターコイズ・(蛍光)オレンジ・シルバーなど」
専用の規格で互換性のないメーカーもありますが、多くは「パーカータイプ」といわれる替え芯の規格を採用しており互換性があります

記号 太さ ボール径
  EF   極細字用  0.65mm未満
  F   細字用  0.65〜0.85mm未満
  M   中字用  0.85〜1.05mm未満
  B   太字用  1.05mm以上









ローラーボール(水性ボールペン)
ローラーボールはいわゆる万年筆のボールペンタイプと言えます
万年筆のような軽快でさらさらとした書き味が特徴です
ボールペンと同じ様に替え芯タイプで、手軽に使うことができます
インクが乾きやすいので万年筆と同じくキャップタイプのものがほとんどです
特   性:
軽い筆圧でなめらかな書き味です。
おすすめ:
長文を書くときには疲れが出にくく、発色が鮮やかなので、ペン画などにも適しています
ローラーボールペンの主要部位の名称





シャープ・ペンシル
シャープペンシルの原型は、1822年に、イギリスのホーキンスとモーダンによって考え出されました。シャープペンシルが実用的な筆記用具として使われ出したのは、1838年にアメリカのキーランが「エバーシャープ」という名前のシャープペンシルを発表してからで、「シャープペンシル」という名前は「エバーシャープ」に由来しています
日本では0.5mmが当然のように使われていますが、輸入メーカーでは0.5mm〜1.4mmまで幅広く使われていますので購入前に十分ご確認ください
太さはJIS規格にて統一されていますが、JIS規格に準じない(1.18mm)製品のペンもあります
色の濃さは4B〜6H(薄い→4B、3B、2B、B、F、HB、H、2H、3H、4H、5H、6H→濃い)の12種類が入手可能(標準はHB)
シャープ・ペンシルの主要部位の名称