[ 2025年 6月 3日付 ]
ハイエンドオーディオ担当の"ichinose"です。
今回は、「ワイヤーワールド」から発売された最新世代ケーブル『 Series10 』をご紹介いたします。
◆「ワイヤーワールド社」のプロフィール
ワイヤーワールド社は、米国フロリダ州に位置する。ハイエンドケーブルメーカーです。
いくつもの名作と言われるケーブルを設計した実績を持つケーブルデザイナー『 デビッド・ザルツ 』氏が1992年に独立して起こしたブランドです。
ラインナップとしては「プラチナエクリプス」シリーズを頂点に「ゴールド/シルバーエクリプス」、中核モデルの代表作「エクリプス」、同ブランドの技術満載の中級モデル「ポラリス」などがあります。
「Series10」の音質は、高純度、低歪率、ワイドレンジ、ハイレスポンスにグレードアップされ、新世代へ向けて一段と進化しています。
※過去のシリーズの展開:「Series3(1997年)」→「Series5(2002年)」→「Series5-2(2006年)」→「Series6(2009年)」→「Series7(2013年)」→「Series8(2018年)」→「Series10(2025年)」
◆「ワイヤーワールド」独自のケーブル構造「DNA Helix Design」について。
ケーブルの世界において、過去2度の革新的なデザインが生まれたと言われています。
1度目は1880年の同軸デザインで、2度目のは1892年に開発されたツイストペア(2芯シールド)・デザインです。
しかし、その後100年以上の間、本当の意味でイノベーティブなケーブルデザインが生まれる事はありませんでした。
それは「信号が通る正しい経路」と「ケーブルが捻じれる事で起るマイナス要素」の2つを正しく理解せずにケーブルデザインを行ってきた事による結果であると『 デビッド・ザルツ 』氏は警告しています。
「ワイヤーワールド」ではポリグラフス・テストによって、信号が通るマグネティック・フィールドの存在と、曲がる事で発生する電磁的な悪影響を発見、この2つの要素を満たすために発明されたのが、「ワイヤーワールド」が特許を取得した「DNA Helix Design」なのです。
一般的に信号エネルギーはコンダクター(ケーブル内の導体部分)の内部のみを電子流として移動していると思われていますが、実際には多くが電磁エネルギーとしてコンダクター周辺に起るエレクトロ・マグネティック・フィールド(電磁場)も移動しています。
たとえば一般的な4組構造のケーブルの場合、電磁エネルギーは4経路しか確保できません。
しかし「DNA Helix Design」はストランド(撚紐)・グループ構造とすることで、大幅に導体本数を増やし、多くの電磁的フィールドを確保し、信号をより確実に伝送します。
また、ケーブルが曲がるとき、過電流抵抗と呼ばれる現象が生じます。
これはケーブルの捻れ具合によって増大し、結果としてマグネティック・フィールドまでねじ曲げ、音楽の細部を覆い隠します。
「DNA Helix」は完璧なパラレル(平行)構造となっており、過電流抵抗を抑えるために、最も直接的な信号経路を提供します。
ケーブルを曲げた際もフラット構造が保たれるだけでなく、DNAのように螺旋状に配置された導体が均一の長さを保ちながら捻れるため、内部の間隔を均一に保ちます、この事はマグネティック・フィールドに悪影響を与えない事を意味しています。
「Series10」では、特許取得済みの「DNA Helix構造」に新たな線材群(ストランドグループ)を追加したことで、電磁的損圧(渦電流)を更に低減しており、音の解像度/フォーカス/ダイナミックコントラストを向上させています。
◆「シリーズ8」に比べ、ストランド(導体の束)の数を倍増。
ストランド数が増える事によって、信号が通るマグネティック・フィールドを広げ、より確実に信号を伝送できます。
サウンドステージやセパレーション、ダイナミックな表現を獲得しながら、音の純度とフォーカス・イメージを劇的に改善。
信号がエレクトロ・マグネティック・フィールドも通じて移動している事実と、ケーブルが曲がる事で発生する電磁的悪影響の低減という、似て非なる二つの要素に対する「ワイヤーワールド」の完璧なまでの回答が「DNA Helix Design」なのです。
※ラインケーブル・ストランド数が倍増(「シリーズ8」→「シリーズ10」)
・PLATINUM ECLIPSE:20→40
・GOLD ECLIPSE / SILVER ECLIPSE / ECLIPSE:16→32
・EQUINOX / OASIS:8→16
・SOLSTICE / RENA:7→14
※スピーカーケーブル・ストランド数(「シリーズ8」→「シリーズ10」)
・PLATINUM ECLIPSE:64→128
・GOLD ECLIPSE / SILVER ECLIPSE / ECLIPSE:48→96
・EQUINOX / OASIS:20→40
・SOLSTICE / LUNA:16→32
・STREAM:8→16
また、オーディオケーブルは一般的に太い導体を使用すると、伝送ロスを抑え音質面で有利だと誤解されてきました。実際には複合的な要因によって、太い導体そのものが信号のロスを引き起こし、実際に再生される情報を減衰させてしまう事もあるのです。太さが大切なのではありません、全ての周波数への影響を考慮した素材の選択と、信号波形を変化させない総合的なデザイン(構造)が求められます。
「ワイヤーワールド」ではストランド・グループの数にこそ差はありますが、基本となる構造は共通として、素材による差がケーブルの大きな違いとなっています。
もちろん、その素材は各価格帯での最高品質のものを使用しているのは言うまでもありません。
◆第4世代となる「COMPOSILEX-5」絶縁体を採用。
シリーズ8の「COMPOSILEX-3」から「COMPOSILEX-5」にステップアップしてグレードアップ!!
信号がケーブル内をどのように移動しているかについての誤解がケーブルデザインの進化を妨げてきました。
「DNA Helix Design」が完成させる電磁フィールドを守るために開発され、信号伝送の要となっているのが「Composilex」複合絶縁体です。
第1〜2世代「COMPOSILEX」はテフロンを含んだ独自の低ロス絶縁複合素材。
第3世代「COMPOSILEX3」ではテフロンより静かで、ポリエチレンやポリプロピレンなどの低損失断熱材よりもアドバンテージが高い、独自の複合絶縁素材を新たに開発。
第4世代となる「COMPOSILEX5」では最新複合絶縁技術が採用されています。
絶縁体が「COMPOSILEX5」に進化したことで、摩擦電気ノイズが最小限に抑えられ、さらにクリーンな音質と静寂感を実現。
空間表現、鮮やかさ、ダイナミック・コントラスト、音楽の細部と純粋な音質をこれまで以上に鮮明に体感することが可能となっています。
◆オリジナル端子について(Silver-Tube Plugs)
「ワイヤーワールド」はなぜオリジナルプラグを開発するのか。
その質問に対し『 デビッド・ザルツ 』氏は、プラグ部分で信号に大きな損失があっては、如何に良い構造のケーブルを開発したところで無意味だと気づいたからだ、と答えています。
「ワイヤーワールド」が特許を取得しているシルバーチューブプラグ(アメリカ特許第5,413,503号)は、シルバークラッドOFCとデュポン社デルリン素材を組み合わせ、完璧なグリップのための登録商標を持つ「シリコンラバー・テンションバンド」を用いることで、世界中のRCAプラグで最も高い伝導性を実現しています。
◆「Series8」から約7年の歳月をかけて研究開発された最新モデル「Series10」のラインナップ!
■ インターコネクトケーブル ■
・Platinum Eclipse 10 RCA(XLR):プラチナム・エクリプス10【 店舗のみで取り扱い 】
・PEI10RCA(XLR)/0.5m
・PEI10RCA(XLR)/1.0m
・PEI10RCA(XLR)/1.5m
・PEI10RCA(XLR)/2.0m
・Gold Eclipse 10 RCA(XLR):ゴールド・エクリプス10【 店舗のみで取り扱い 】
・GEI10RCA(XLR)/0.5m
・GEI10RCA(XLR)/1.0m
・GEI10RCA(XLR)/1.5m
・GEI10RCA(XLR)/2.0m
・Silver Eclipse 10 RCA(XLR):シルバー・エクリプス10
・SEI10RCA(XLR)/0.5m
・SEI10RCA(XLR)/1.0m
・SEI10RCA(XLR)/1.5m
・SEI10RCA(XLR)/2.0m
・Eclipse 10 RCA(XLR):エクリプス10
・ECI10RCA(XLR)/0.5m
・ECI10RCA(XLR)/1.0m
・ECI10RCA(XLR)/1.5m
・ECI10RCA(XLR)/2.0m
・Equinox 10 RCA(XLR):エクイノックス10
・EQI10RCA(XLR)/0.5m
・EQI10RCA(XLR)/1.0m
・EQI10RCA(XLR)/1.5m
・EQI10RCA(XLR)/2.0m
・Oasis 10 RCA(XLR):オアシス10
・OAI10RCA(XLR)/0.5m
・OAI10RCA(XLR)/1.0m
・OAI10RCA(XLR)/1.5m
・OAI10RCA(XLR)/2.0m
・Solstice 10 RCA(XLR):ソルスティス10
・SOI10RCA(XLR)/0.5m
・SOI10RCA(XLR)/1.0m
・SOI10RCA(XLR)/1.5m
・SOI10RCA(XLR)/2.0m
■ スピーカーケーブル ■
・Platinum Eclipse 10:プラチナム・エクリプス10【 店舗のみで取り扱い 】
・PES10(シングル)/1.5m、PEB10(バイワイヤー)/1.5m
・PES10(シングル)/2.0m、PEB10(バイワイヤー)/2.0m
・PES10(シングル)/2.5m、PEB10(バイワイヤー)/2.5m
・PES10(シングル)/3.0m、PEB10(バイワイヤー)/3.0m
・Silver Eclipse 10:シルバー・エクリプス10【 店舗のみで取り扱い 】
・SES10(シングル)/1.5m、SEB10(バイワイヤー)/1.5m
・SES10(シングル)/2.0m、SEB10(バイワイヤー)/2.0m
・SES10(シングル)/2.5m、SEB10(バイワイヤー)/2.5m
・SES10(シングル)/3.0m、SEB10(バイワイヤー)/3.0m
・Eclipse 10:エクリプス10
・ECS10(シングル)/1.5m、ECB10(バイワイヤー)/1.5m
・ECS10(シングル)/2.0m、ECB10(バイワイヤー)/2.0m
・ECS10(シングル)/2.5m、ECB10(バイワイヤー)/2.5m
・ECS10(シングル)/3.0m、ECB10(バイワイヤー)/3.0m
・Equinox 10:エクイノックス10
・EQS10(シングル)/1.5m、EQB10(バイワイヤー)/1.5m
・EQS10(シングル)/2.0m、EQB10(バイワイヤー)/2.0m
・EQS10(シングル)/2.5m、EQB10(バイワイヤー)/2.5m
・EQS10(シングル)/3.0m、EQB10(バイワイヤー)/3.0m
・Mini Eclipse 10:ミニエクリプス10
・MES10(シングル)/1.5m、MEB10(バイワイヤー)/1.5m
・MES10(シングル)/2.0m、MEB10(バイワイヤー)/2.0m
・MES10(シングル)/2.5m、MEB10(バイワイヤー)/2.5m
・MES10(シングル)/3.0m、MEB10(バイワイヤー)/3.0m
・Oasis 10:オアシス10
・OAS10(シングル)/1.5m、OAB10(バイワイヤー)/1.5m
・OAS10(シングル)/2.0m、OAB10(バイワイヤー)/2.0m
・OAS10(シングル)/2.5m、OAB10(バイワイヤー)/2.5m
・OAS10(シングル)/3.0m、OAB10(バイワイヤー)/3.0m
・Solstice 10:ソルスティス10
・SOS10(シングル)/1.5m、SOB10(バイワイヤー)/1.5m
・SOS10(シングル)/2.0m、SOB10(バイワイヤー)/2.0m
・SOS10(シングル)/2.5m、SOB10(バイワイヤー)/2.5m
・SOS10(シングル)/3.0m、SOB10(バイワイヤー)/3.0m
・SOS10(50mリール巻き)/50m
※スピーカーケーブルの端末処理は標準が「スペードプラグ大」となります。
スペードプラグ(大):外径14.1mm / 内径 6/9mm・2段構成でお勧めです。
ご注文時にその他のプラグへの変更を指定頂けます。
・スペードプラグ(小):外径11.0mm / 内径 6mm
・バナナプラグ:φ4mm
※後から先端プラグ部が交換可能な「Uni-Term」システムを採用しています。
◆担当者より
「WIREWORLD(ワイヤーワールド)」のオーディオケーブルが、「8シリーズ」から「10シリーズ」へと7年ぶりに刷新されました。過去を振り返ると大体3〜4年でモデルチェンジを行っていましたが、今回はなんと7年という長いサイクルを経てのモデルチェンジとなります。それだけ「シリーズ8」の完成度が高かったとも言えますが、「シリーズ10」の内容を見ると過去のグレードアップ2回分ほどの内容が詰め込まれていると感じました!!
音質的にも「シリーズ8」から「シリーズ10」へは、かなり大きな変化があり、ジャンプアップの意味もあって型番も9を飛ばして10へジャンプしているのかな〜と思います!! 外見はあまり変わっていないようですが、内部の構成は全く別物のようです。
また、製造時の加工精度がより高くなっていて、優れた設計思想を今まで以上に有効に活かす事に成功しているとの事です。
構造面での大きな変更点は、何と言ってもストランド・グループ(数本ずつ束ねた素線)の数が全てのモデルで「シリーズ8」と比べて倍増している点ですね。
導体の表面積を増やす目的では無く、信号エネルギーは導体間に生じる電磁場を通っても移動するため、導体本数が増えるとその組み合わせは2乗に相当するそうで、信号エネルギーの経路を大幅に増加させる事を実現しています。
絶縁体も「COMPOSILEX3」から「COMPOSILEX5」へと4を飛ばしてジャンプアップしています!!
ワイヤーワールドのケーブルと言うと「色付けの無さ」「ニュートラルサウンド」・・等と良く言われます!!
常にリファレンスとなるベリーショートケーブル(実験用の超短いケーブル)と比較試聴を繰り返し、同レベルの「エナジー感」「美しさ感」「静かさ感」等々、何も失わないノンカラーレーションの境地!を目指しているブランドです。
ケーブルを変えるとシステムの音が大きく変わる経験をされた方も多いと思います、筆者も今まで多く経験してきました!!
ケーブルでの音質変化、表現の味付けに関しては旨くコントロール出来れば何の問題も無いと思いますし、システムの総合的なコントロールとしてケーブルをお使いの方も多いと思います。
しかし、どれが本当に正解か判断するのはなかなか難しいですね、オーディオは複雑な要素が絡み合いシステムやアクセサリーで様々な表情を聴かせてくれます、筆者は最終的には『 好みで選べば良い!! 』と思っていますが・・出来れば自分の基準的なモノがあると判断しやすくなります。
ワイヤーワールドはケーブルとしてリファレンス(基準)となりうるケーブルと言えます、なぜかと言うとワイヤーワールドのケーブルは色付けの無さでは世界でもトップクラスだからです。そんな基準となるケーブルをお探しの方、愛用の機器本来の音を楽しみたい方にお勧め出来るケーブルです。