[ 2025年 5月 20日付 ]
ハイエンドオーディオのichinoseです。
今回はKORGから発売された、ちょっと風変わりなポータブル・レコード・プレーヤー「handytraxx tube」をご紹介いたします。
◆開発コンセプトはアナログ・レコードを気軽に楽しむ!!
部屋の奥に片付けてしまったレコードを取り出し、懐かしいジャケットやライナ・ノーツを眺めながら、またレコードの音に浸ってみたい... でも、プレーヤーやオーディオ・システムはもう持っていない...
と考えたことはないでしょうか。
今回ご紹介する「handytraxx tube」なら、レコード再生がこれ一台で実現できるので、アンプやスピーカーをすぐに用意する必要はありません。
近年、音楽のメイン・ストリームはCDから配信へと移ったものの、アナログ・レコードならではの魅力も再認識されており、復刻盤、リマスター盤だけでなく、新作もリリースされるなど、中古も含めて、レコードを取り扱うお店も以前より増えてきました。
昔を知るアナログ・オーディオ・ファンはもちろん、まだその音を体験していなくても、アナログ・レコードに少しでも興味を持っている人なら、これからコレクションを始めるきっかけとして「handytraxx tube」は最適かもしれません。
◆アナログ・レコードを良い音で楽しむ
このプレーヤーが他と違うのは、ポータブルでありながら、音と品質に限界までこだわっているところです。
レコードの回転を安定させるため、優れた回転精度を実現するアルミ・ダイキャスト製のプラッターを採用。
さらに、常にピッチを監視し、設定した速度に制御するプログラムを導入し、ベルト・ドライブ方式においても、安定した回転を可能にしています。
◆レコード・プレーヤーで最も音を左右するのが針とカートリッジ
そのサウンドの変化をポータブル・レコード・プレーヤーでも楽しめるよう、ヘッド・シェルの交換が可能なユニバーサル・タイプのアームを採用。
また、カートリッジによって異なる適正針圧に調整するため、トーン・アームにはカウンター・ウェイトを搭載(推奨針圧 4g以下)。
付属のカートリッジには、なんとJICO製 J44A-7(※) MM型カートリッジがあらかじめヘッド・シェルに取り付けられているため、すぐにレコード演奏を楽しめます。
JICO製 J44A-7は、JICOが2021年に発売した、MADE IN JAPAN製のMMカートリッジです。
躍動感があり、迫力ある低音は芯のしっかりしたサウンドを奏でます。
付属のレコード針は合成無垢ダイヤモンドチップを採用した高級志向品です。
カンチレバーの「形状」「高さ」「角度」は抜群のトラッキング性能を発揮できるよう、0.1mm単位にまでこだわって作りあげています。
本体内蔵のステレオ・スピーカーは、どこに置いてもアナログ・レコードの魅力を味わえるよう、リスニングに最適な音量を担保しつつ、できる限りフラットな音質を実現しています。
ライン出力も装備しているので、さらに音質をグレイドアップしたくなったらオーディオシステムに接続してもよいし、高音質なアクティブスピーカー(アンプ内蔵モデル)を組み合わせることもできます。
◆次世代真空管「Nutube」を使用したフォノ・イコライザーを搭載
レコードの再生に不可欠なフォノ・イコライザーの品質は、いうまでもなくレコードのサウンドを大きく左右します。
真空管そのものが少なくなり、また真空管に必要な高い増幅度を実現する技術やノイズを減少させる技術も衰退しつつある近年、真空管式フォノ・イコライザーは希少で高価なものになっています。
本製品には、KORGの次世代真空管「Nutube」を活用した、真空管式フォノ・イコライザーを新開発して搭載されています。
このフォノ・イコライザーは、レコードの本来の音を引き出しつつ、心地よい倍音が真空管ならではの温かみを加え、豊かな臨場感を体験することができます。
真空管によるナチュラルな倍音付加の具合は、TUBEノブによって調整可能なので、良い按配(あんばい)を探ってみてください。
この真空管式フォノ・イコライザーが内蔵されているため、一般的なステレオ・システムにもライン出力で接続できます。
さらにこだわりのあるオーディオ・ファンのために、ご自身の好きなフォノ・イコライザーを使用できるよう、イコライザーOFF出力も備えています。
また、盤によって音質が異なるアナログ・レコードというメディアを最大限に楽しむために、手元で自分好みの音に調整できる、周波数帯域やレンジにもこだわったBASSとTREBLEの2つのトーン・コントロールを搭載しています。
◆コルグの次世代真空管「Nutube」について
「Nutube」は従来の真空管と同じく、アノード・グリッド・フィラメントの構造を持ち、完全に3極真空管と同じ動作をします。
また、従来の真空管と同様、真空管特有の豊かな倍音を生み出し、魅力的なサウンドを聴かせます。
ノリタケ伊勢電子(株)の蛍光表示管の技術を応用することにより、その構造を工夫し、従来の真空管に比べ、大幅な省電力化、小型化、品質向上に成功。
・大幅な省電力化を実現:小さな形状にすることにより、大幅な省電力化に成功し、従来真空管の2%以下の電力で動作するため、電池動作も容易
・小型:容積比で従来の真空管に対し30%以下
・リアル真空管サウンド:3極管構造を有し、真空管独特の心地良いサウンドと優れたリニア特性を実現
・高信頼度、長寿命:日本製、連続期待寿命 30,000時間
・三重県の工場で生産される純国産の真空管です。
◆アナログ・レコードをどこでも楽しめるラジカセのような持ち運びの手軽さも実現
ほぼA3ほどのサイズで、重さは3Kg(電池除く)、ACアダプターだけでなく電池駆動(別売:単3形アルカリ電池6本)も可能なので、これを置いた場所がただちにリスニングのベスト・ポジションになります。
専用ダスト・カバーも付属しており、お部屋の決まった場所に設置してもお使いいただけます。
本体には内蔵ステレオ・スピーカー(オン/オフ・スイッチあり)のほかに、ヘッドホン端子も装備しており、夜遅い時間に周りを気にせずに楽しむこともできます。
◆コンピューターと接続してレコードをデータ化
大切なレコードをいつでも好きな時に聴けるよう、コンピューターにインストールしたお好みのオーディオ録音アプリケーション(フリーウェアの「Audacity」など)を使用して、USBケーブル一本で本体からPCに録音することができるようになっています。
作成したオーディオ・ファイルをスマートフォンやデジタル・オーディオ・プレーヤーにデータ転送すれば、レコード音源を外出先で楽しむこともできます。
※録音用ソフトウェアは付属しておりません。フリーウェアまたは市販のソフトウェアなどを使用してください。
◆担当者より
今回ご紹介する「handytraxx tube」は、ポータブルプレーヤーの草分け的な存在 Vestax「Handy-Trax」をベースに、高音質化を図った製品です。
Vestax元社長でありオリジナルの「Handy-Trax」に携わった中間俊秀氏とKORGが共同開発して製品化されています。
「Handy-Trax」はストリートDJプレイ&スクラッチを楽しむ「Portablism(ポータブリズム)」カルチャーの製品で、今回ご紹介の「handytraxx tube」とは異なるカートリッジが付属していました。
「handytraxx tube」のJICO製「J44A-7」カートリッジはシュアーのM44-7をMADE IN JAPANクオリティーで再現した人気カートリッジで、カートリッジ単品で購入すると14,000円ほどする本格的なカートリッジです。
今までのポータブル・レコード・プレーヤーに付属しているセラミック・カートリッジとは比較にならない情報量と高音質を聴かせてくれます。
※交換針は様々なメーカーから発売されているシュアーM44-7互換の交換針がお使いいただけます。(JICO、中電、ナガオカなどから発売されています)
市販の別売カートリッジも接続できるように、HiFi仕様のユニバーサル型ストレートアームが取り付けられています。
さらに、KORGならではの次世代真空管「Nutube」を使ったフォノイコライザーが内蔵されていて、ポータブルとは思えない音質を聴かせてくれます。
特に、ライン出力の音質は侮れないクオリティーなので、お使いのシステムに接続して楽しむこともできます。
持ち運びができる3kgという重さと、コンパクトなA3サイズという、厳しい制約の中で音質に拘った設計が見事な製品といえます。
なかなか遊べる! 侮れないポータブル・アナログ・プレーヤーとしてお勧めいたします。
◆handytraxx playもございます
バリエーションとして、Vestax「Handy-Trax」の後継モデル「handytraxx play」も同時発売されています。
スクラッチに最適化されたフェーダー、最先端のデジタル・エフェクト、オーディオ・ルーパー、ポータブルながら通常のレコードプレーヤーの枠を超えた、クリエイティブでユニークな機能を搭載。