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音場工房

[ 2025年 4月 15日付 ]



真のブックシェルフ・スピーカー、エポス『 ES-7N 』をご紹介!!

ハイエンドオーディオのichinoseです。

今回は、いま注目されているスピーカーブランド "エポス" から、第2弾として発売された『 ES-7N 』をご紹介いたします。

2023年に発売された「ES-14N」は、音楽を楽しく聴くことができるスピーカーとしてかなり話題となり、オーディオイベントでもよく使われていたので、聴かれた方も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介する『 ES-7N 』は大幅に価格を抑えながら、「ES-14N」の長所を継承したモデルとして、注目すべきスピーカーに仕上がっています。





◆エポス(EPOS)ブランドの生い立ちについて

1983年:エポスは、ロビン・マーシャルによってイギリスで設立。「ES14」を発売。

1988年:Mordaunt-Short(モダンショート)の傘下となる。

1999年:Mike Creekが創設したCreek Audio(クリークオーディオ)の傘下となる。

2019年:ドイツ・ミュンヘンでの「High End Munich 2019」で、マランツのブースで鳴っていたコンセプト・スピーカーが話題となる。後に「BORG(ボーグ)」として発売。

2020年:FINK teamの創設者 カールハインツ・フィンク(KARL-HEINZ FINK)に売却。
・カールハインツは、ロビン・マーシャルの設計哲学をベースに、近代設計とエンジニアリング技術と融合することで、エポスらしさを現代に蘇らせる製品を開発。
・ロビン・マーシャル曰く「流行を追わず、自身のアイデアとノウハウに基づいてスピーカーを設計している」。

2021年:「自分達が家でリラックスして音楽を楽しむための最高のスピーカー」として開発された「KIM(キーム)」を発売。

2023年:2年の開発期間を経て、新生エポスブランドから「ES-14N」が発売されて、世界中のオーディオ業界で大注目ブランドとして高い評価を受けました。
・エポスらしさを残しながら、さらに進化を遂げた「ES-14N」に続き『 ES-7N 』を開発。


◆エポス主宰者であるカールハインツ・フィンクについて

自身が仲間たちと創立したALR社と、E・J・ジョーダンが主催するJORDAN WATTS社が協力して開発したモデルが、あのALR-JORDANブランドで、日本でも大ヒット製品となった「Entry-S」です。

カールハインツ・フィンクは、その後さまざまなブランド(*1)のスピーカーやユニットの開発・設計を請け負っている世界有数の音響設計コンサルタント会社に成長しています。

設計・モデリング・測定機器などで世界最高峰の設備を保有し、多くのブランドに携わっています。
*1:QAcoustics / Wharfedale / TANNOY / NAIM / MISSION / DENON / Marantz / Boston Acousticsなど

カールハインツ・フィンクの主催するチームが設計するスピーカーは「FINK team」として、世界中のオーディオ関係者に認知されています。

エポスはその「FINK team」が一般家庭用として開発されたスピーカーのブランドとして、発売されることとなりました。


◆エポス製品が選ばれている理由

エポス製品の第1弾として発売された「ES-14N」は、音楽を楽しく聴けるスピーカーとして、高い評価を獲得しています。

究極の解像度、究極のS/N比などなど、ハイエンドスピーカーに求められる性能(スペック)は確実に存在しますが、エポスは決して究極だけを追求した製品ではありません。

様々な環境(リスニング部屋環境、接続アンプなどの機器類)に適応するために工夫されており、日本の厳しい環境でも使いやすい製品に仕上がっています。

アルミ合金/ポリプロピレンを用いたトラディショナルな構成で巧みに設計されており、音楽を正しく再生するための高い基本性能を有しながらも、必要以上にそれを前面に押し出すことなく、ただ録音された音楽の魅力を素直に表現することに徹しています。

また、インピーダンスの変化が少ないことも設計の巧みさのひとつであり、高価で大型のアンプでなくても、無理なく鳴らすことができます。

これらのことなどが「一番音楽そのものに集中できる」と評価され、エポスが選ばれている理由なのです。


◆心から待っていた…。どこに設置しても実力を発揮する真のブックシェルフ・スピーカー!


エポス『 ES-7N 』は、この価格帯における最高レベルのブックシェルフ・スピーカーです。

バランスの良さ、録音を正確に再生する性能、それを感じさせない音楽を楽しく聴かせる表現力。

そしてなにより、部屋やアンプを選ばない鳴らしやすさなどなど、音楽を楽しむ上で、重要な要素の多くを備えています。

現代のブックシェルフ・スピーカーのほとんどは、性能を追い求めるばかりに、ブックシェルフとは名ばかりで "本棚" スピーカーではなくなっています。

スタンドへの設置が必須となってしまっているこの事実は、"オーディオ好きな音楽ファン" を増やすという大切なことへの足枷になっているのかもしれません。

音楽好きは沢山いますが、なかなかオーディオに手を出せない理由のひとつに「置き場所がない」というのがあると思われます。


リアバッフル面に、トーンバランスを変化させるためのクロスオーバー・スイッチが搭載されています。

上にすると、壁から30cmから50cmほど距離をとって、セッティングするのに最適で、スタンドなどに設置する場合に推奨されています。

下にすると、テレビ台などに置いて壁際に設置する場合や、本棚の中に置いて使うのに最適です。

どこに設置しても最良の結果を見つけることができる、さまざまな部屋で最良のバランスで鳴らせることが出来る、これこそがまさに「真のブックシェルフ・スピーカー」なのです。

こんなスピーカーを心から待っていた方も多かったのではないでしょうか。



◆エンクロージャー(ENCLOSURE)


カールハインツ・フィンクが設計するスピーカーは、常にエンクロージャー設計に細心の注意が払われます。

キャビネットには8mmx2枚のMDFパネルを使用し、間に特殊なダンピング層を挟むことで、ボックスの不要共振を制御、上部には木製ブロックが追加されており、ステレオイメージを最適化。

キャビネットの静音化のために使われているのは、たった1本のブレースです。

スピーカーのキャビネットには、何が大切かを理解した設計といえます。


また、新設計のフロント・バスレフポートは、中央に向かって曲がる特殊な形状パイプと、減衰のための通気孔を備えることによって、中低域を適切に制御しています。


底面には、4mm径のインサート(ネジ穴/4カ所)があり、接地面とアイソレートするために、専用シリコンゴム・スパイクが付属しています。


◆クロスオーバー・ネットワークの特徴


クロスオーバーは、トーンバランスを2つのバージョンから選択できるスイッチを備えています。

フィルターにはPPコンデンサー、ポリエステル・コンデンサー、低損失電解コンデンサーが使用されていますが、そのほとんどは空芯で、重要な抵抗は全て無誘導の特注部品が選別して使われています。

特性も大切ですが、使われる部品はカールハインツ・フィンクが設計する他のスピーカーと同様に、最終的には彼自身が試聴して、彼自身の耳で選ばれています。


レスポンス・カーブは、スピーカーを壁から距離をとって使用する場合(Semi free)、または、壁際(On wall)で使用する場合のどちらでも最適に再生されるよう調整されています。

ボトムエンドのロールオフは、低周波数における部屋や壁のゲインに対応し、低音のブーミングを避けるためにフラットになっています。

スピーカーの能率は、スイッチのポジション・アップ(Semi free)で約86dB、ポジション・ダウン(On wall)で約89dBです。

また、4Ω前後の一定のインピーダンスキープと低位相シフトにより、比較的楽な負荷であり、様々なアンプで鳴らすことが可能です。


◆オリジナル・ツィーターの特徴


ツィーターは、上位モデル「ES-14N」のために設計された、オリジナルユニットをそのまま採用。

アルミニウム合金ドームをセラミックでコーティングすることで剛性を高め、ファブリック・サラウンドと特殊形状のコントロールリングの採用により、共振ピークは約30kHzとなり、聴感の限界から大きくシフト。

ドームおよびサラウンドの背面に多くの空間を設けることで、小さすぎるキャビティによる圧縮と歪みを避けています。

また、フェライトマグネットには、カッパー(銅)キャップを追加することで、超高周波でのレベルを向上。


ツィーターの金属プレートは、バッフル面とのエネルギー伝達を低減するために、ネジ周りの4点のみがキャビネットに接触。

これは、naim audio(ネイムオーディオ)のロイ・ジョーンズによるアイデアで、彼の承認によって採用されています。

また、このツィーターは、安定した温度と低コンプレッションを実現するために、ギャップにはFerrofluid(フェロフルイド/磁性流体)は使用されていません。


音楽をストレートに届ける完成度の高いコンプレッション・ホーンのようなエネルギッシュで抜けの良い高域の秘密は、28mm径の近年では少し大きめといえるオリジナル・ハード・ドライバーの恩恵です。

※正面から見たところ。最近のスピーカーでは珍しく非対称デザインになっています。ちなみに、輸入元の説明によると、基本的にはツィーターを内側に設置してくださいとのことです。


◆ミッド/バス・ドライバーの特徴


中低域用ユニットは、新たに設計されたオリジナルの130mmのポリプロピレン・ドライバー。

ポリプロピレンは大変優れた素材にもかかわらず、旧世代の素材というイメージを持っている方もいるようですが、現在は昔とは違い、さまざまなシミュレーションが行えるだけでなく、素材の厚みなども箇所ごとに適切に変更させる設計が可能です。

この新しいウーファードライバーの振動板は、特殊な形状になるよう射出成型を行い、10%のマイカを混入させることで、理想的な剛性を実現しています。

さらに、低ヒステリシス(過去に加わった力)のラバー・サラウンドと、ノーメックス・スパイダーにより、非常にリニアな動きを獲得しています。


30mmのボイスコイルは、非金属のTILフォーマー(TIL:グラスファイバー/エポキシレジン混合物)製で、インピーダンス・コントロールリングを備えたマグネット・システムによって、歪と相互変調を最小限に抑えます。

また、ダブルマグネットが磁界を補正し、コイルのエネルギーを増大させ、130mmという小径サイズからは信じられない低域再生能力と、小型ウーハーにしか実現できない瞬発力、そして音楽に活力を与えていると思えるような心地良い音色を兼ね備えており、ポリプロピレンという素材を再評価させるに違いありません。


◆スピーカー端子の特徴


スピーカー端子には一般的なYラグ対応のスピーカーターミナルではなく、ドイツ製の4mmバナナ専用ソケットタイプで、内部の金属プレートに直マウントされています。

高価なハイエンドスピーカーターミナルを採用するよりもはるかにサウンド面で有利だったために、採用されています。


もちろん、バナナプラグは付属しており、別途購入する必要はありません。
※筆者的には、接触面積的に有利と思われるYラグ派ですが、プラグも含めて、総合的にチューニングされており、尊重いたします。


◆担当者より


エポス『 ES-7N 』および「ES-14N」は、音楽再生に特化したスピーカーとして、高く評価されています。

再生する音は、決して高解像度を前面に誇る音ではありません。良い意味で、ブリティッシュサウンドの伝統を継承したといえるサウンドです。

エポスは、音を出した一瞬は英国の人気スピーカー「ハーベス」や「ロジャース」などの往年モデルに似ていて、高域は控えめで、中低域は厚みがある傾向を感じましたが、その後、それらの従来の英国伝統のサウンドとは異なり、音離れが良く、現代的なサウンドステージの深みを再現できる、優れた表現力が備わっていることにすぐに気付きます。一言でいうと「音造りが旨い!!」です。

このサウンドは、1996年に発売された名機アコースティックエナジー「AE-1 Signature」の、ピアニシモが美しく、陰影の微細な表現力に魅了されたのを思い出します。

しかし、このエポスのサウンドは明らかに洗練されており、シンプルなデザインで、コンパクトなキャビネットに底知れないエネルギーとノウハウが凝縮していると感じさせます。

「AE-1 Signature」はオプションの専用スタンド、高品質アンプが必須で、パワーを入れすぎないように注意が必要な繊細なスピーカーでしたが、『 ES-7N 』はどんな環境でも、どんなアンプでも、どんな音量でも気兼ねすることもなく、素晴らしいサウンドで音楽を楽しむことができる凄い能力を備えた製品だと思います。

設置の自由度が高いのは、新たなアプローチとなる画期的な機能といえます。音質を損なうことなく、ブックシェルフ内や壁の近くに設置できるように作られています。これにより、音色バランスを妥協することなく、スピーカーの配置場所を選択することができます。

メーカーの説明によると、ポジション(free)(wall)は決めつけずに、両ポジションを試して、環境との関係具合を考慮して、好みの鳴り方でお使いくださいとのことです。
※『 ES-7N 』は「ES-14N」より小型ブックシェルフ型なので、本国では「ベビー・エポス」と呼ばれています。

音質は英国伝統のサウンドがベースと思われるハード系のツィーター素材ながら、うるささを感じさせないモダンな音造りです。

英国スピーカーの伝統や歴史に対するリスペクトが溢れている製品に仕上がっているといえる製品です。

もちろん、空間の表現力や、音離れの良さ、ストレスなく、高い解像度を表現できるあたりは、現代的で最先端の性能の高さを感じさせます。

また、エポスのスピーカーで最も注目する点は、スピーカー自体が主張する固有の音が全くないことです。聴けば聴くほど、固有の主張がないことに気がつきます。

音に色付けをすることなく、ソースの中に入っている音楽そのものを聴くことができる貴重なスピーカーだと感じました。

スピーカーの音ではなく、純粋に音楽を聴きたいと思われている方に特にお勧めいたします。






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