[ 2025年 4月 8日付 ]
ハイエンドオーディオのichinoseです。
今回ご紹介するのは、超高級スピーカーで有名なYGアコースティックから発売された「Peaksシリーズ」の中で最も小さい『 CAIRN 』です。
◆アメリカのハイエンドスピーカーブランド「YGアコースティック」
YGアコースティック(以下:YG)の創業者であり設計者だったヨアブ・ゲバ氏は会社を去り、現在は新たにマシュー・ウェブスター博士(Dr.Matthew Webster)がスピーカーの設計を行っています。
ご紹介する『 CAIRN 』(ケルン)を含む「Peaksシリーズ」、そしてリファレンスの「3シリーズ」はマシュー・ウェブスター博士によって進められたプロジェクトです。
この「Peaksシリーズ」は、YG社スピーカーが誇る正確さと音楽性を継承しながらも、よりお求めやすい価格での提供を目指し開発されたシリーズとなります。
開発の目標は明解で「あらゆるサイズの部屋」「あらゆるジャンルの音楽」で優れた性能を発揮し、「あらゆるスタイル」のご家庭に合う高品質な仕上げ、正確 かつ 音楽的なパフォーマンスを最大限に具現化するために「ドライバー」「キャビネット」「クロスオーバー」「化粧板」「塗料」「内部ケーブル」に至るまで一切の妥協をせず、全てが慎重に選択された厳選素材で製作されています。
木目仕上げで質感も良い『 CAIRN 』は「Peaksシリーズ」の中でも最もコンパクトなモデルです。
サイズ: 高さ370mm x 幅192mm x 奥行262mm、重量: 12.5kgと、YGの中でも最もコンパクトな「密閉型」スピーカーです。
YG独自のユニットである「ForgeCoreトゥイーター」と「BilletCoreドライバーユニット」が搭載されます。
これらのユニットは、詳細なコンピュータ・モデリングによって導かれたプロファイルに合わせて社内で精密加工される「分厚いアルミニウム製フロントバッフル」に取り付けられます。
密閉型エンクロージャーは、1インチ厚の高密度ファイバー・レジン製(高密度樹脂繊維)で、YG社初となる木目仕上げを採用。
ヨーロッパの経験豊かな工房により、木製化粧板を厳密なトレランスの湾曲カーブ成型を施し、カスタムプレスにて成型/貼り込まれます。
また、キャビネットの共振や反響を防ぐために、革新的なブレーシングと吸音材が採用されています。
革新的なクロスオーバートポロジーは、複雑なシミュレーションと数え切れないほどの厳しい試聴によって最適化されています。
それぞれのモデルに対しキャビネットサイズ、使用されるドライバーに合わせ最適なクロスオーバー周波数、スロープが個別に決定されています。
これらの設計により効率を最適化し、アンプとの幅広い互換性を確保しています。
各エレメントには最高品質の部品が使用され、YG・ACOUSTICS社で自社生産されるサーキット基板に手作業で丁寧に組み込まれています。
さらに、このクロスオーバーネットワークは、メイン・エンクロージャー底部に配置される「独立したエンクロージャー」に収められ、発生される振動から解放されます。
◆担当者より
※YG「Peaksシリーズ」は技術的な内容をあまり公開していないため、カタログスペック値以上のことはあまり分かりません。「サウンドで判断してね」っていうことでしょう・・・。
これまでの創立者であり設計者であったヨアブ・ゲバ氏からスピーカー設計者がマシュー・ウェブスター博士に代わり、ロゴも変更となったので、「YGはどのように変わっていくのか・・・」と誰もが気にしていのではないでしょうか。
しかし、『 CAIRN 』を実際に試聴してみると、その憂いや心配は期待に変わりました。その表現力はあくまで自然で正確。音楽を正しく伝えてくれるそのサウンドは、正しくYGそのものでした。
2022年のハイエンドオーディオショーで初めて聴いた時の驚きを思い出します。
ジョーシン日本橋店で試聴しました。
価格が高いだけのことはあり、現物を見ると本当に丁寧に作り上げられていますね。
音を出してすぐ感じるのはスピード感と、ピアニシモからのストレスのない立ち上がりの良さです。
このコンパクトサイズで密閉型のキャビネットとのことなので、低域は限界があると思っていましたが、意外なほどしっかりと再現できています。
特に広大となる空間表現力と、スケール感はサイズを遙かに超えており、聴いていて気持ちの良いサウンドで、YGならではの目の前に自然と広がる情景は見事です。
※部屋の広さは絶対ではありませんが、しっかりとしたスタンドと、スピーカー周りにある程度の空間は必須項目となります。
帯域バランスがとても良い点と、鳴りっぷりの良い低域によって、細かいことは、あまり気にせず音楽を楽しめるサウンドに仕上がっています。
今までのYGのハイエンドスピーカーと比べると、だいぶ穏やかなサウンドで、弦楽やピアノ、女性ボーカルなども神経質にならず心地よく響きます。
組み合わせるアンプは、価格を考えるとハイエンドセパレートが必要かと思いましたが、プリメインアンプでもバランスが崩れることも無く、自然体で鳴らすことができていました。
まずは手持ちのアンプと組み合わせることとして、スピーカーに全集中して、YG『 CAIRN 』を導入するのはアリだと思います。
※主な試聴にはアキュフェーズの「E-700」を使用。相性抜群でこれ以上を求めるのであればハイエンドのセパレートが必要となります。
試しにDENON「PMA-3000」でも試聴。このスピーカーの実力は十分感じることができました。自宅できちんとセッティングすれば、かなり高度なサウンドに達することも可能かと思います。
家庭の事情などもあるかもしれませんが、コンパクトなスピーカーを鳴らし込んで、究極のサウンドを極めたいと思われている方は結構多いと思います(私も大好物です)
現在はELAC「300シリーズ」などがその筆頭で、スピーカーとの価格バランスなどは気にせず、国内外のハイエンドアンプと組み合わせて楽しんでいる方も多いと思います。
そんな方で、いよいよスピーカーをグレイドアップしたいな〜とお考えの方がおられましたら、このYG『 CAIRN 』は救世主となるかもしれません。
※ジョーシン日本橋店にて「CAIRN フレーム・ローズウッド」を展示中(2025年3月現在)。店舗の展示は流動的となりますので、ご来店前にご予約をお願いいたします。