[ 2024年 12月 3日付 ]
ハイエンドオーディオ担当の"ichinose"です。
今回は、KEF ブックシェルフ型のエントリーモデル「Qシリーズ」に、KEF独自の画期的マテリアル「MAT」が搭載され、新発売されましたので、ご紹介いたします。
最もコンパクトなエントリーモデル「Q1-META」は抜群のコストパフォーマンスで驚きのハイファイサウンドを聴かせてくれます。
また、往年の名機の名前を冠したブックシェルフ型の最上位モデル「Q-CONCERTO-META」は20万円を切る価格ながら、ハイエンド領域のサウンドを体感できる本格モデルとしてお勧めいたします。
◆(MAT)メタ・マテリアル(吸収技術)とは?(全モデルに搭載)
革新的な吸音技術「MAT」(Metamaterial Absorption Technology / メタマテリアル・アブゾープション・テクノロジー)
KEFの音響技術の中でも、最も革新的技術と言える「Metamaterial Absorption Technology(略して「MAT」)」 は、極めて複雑な迷路の様な構造をもつマテリアルです。
「MAT」は、特定の周波数を吸収する複雑なチャネルを複数備えた迷路のような構造で、「音響ブラックホール」として機能し、ツイーター・ドライバーの裏側から放出される不要なサウンドを何と99%削減!! その結果、純粋でより原音に近いパフォーマンスの再現を達成しています。
「MAT」は2020年発売の「LS-50」に初めて実装され、その後、高級モデルの「Blades」や「Rシリーズ」などにも搭載が拡大。
そして今回遂に、待望のエントリーモデルの「Qシリーズ(全8機種)」に、この画期的マテリアル「MAT」が導入されました。
この「MAT」を使用すると、よりフラットで、自然な音質を備えたツイーター特性が得られます。
エントリーモデルの新しい「Qシリーズ」に「MAT」が搭載されるのは、かなり大きな出来事で、価格をはるかに超える素晴らしいサウンドを体感できます。
◆ユニットは最新の第12世代「Uni-Q・ドライバー・アレイ」(全モデルに搭載)
新しい「Qシリーズ」スピーカーのもう1つの特徴は、各モデルに搭載されている第12世代の最新「Uni-Q・ドライバー・アレイ」です。
ここでも、KEFは独自の自社製最先端のシミュレーション、分析ツールを活用!「MAT」と組み合わせて最適にパフォーマンスを向上させるドライバーを作成。
具体的には、ツイーター・ドームを「MAT」メタマテリアル・アブソーバーに結合する円錐形のウェーブガイドを新たに設計。
ツイーター・ギャップ・ダンパーを再設計し、共鳴と不完全性を抑えるために2つの多孔質材料のリングを配置して、サウンドの明瞭性とディテールを向上。
ツイーター・モーター・システム全体を再設計し、ツイーターの後ろのリア・チャンバー・ベント領域を250%増やして、より多くの音が「MAT」に到達できるようにすることで「MAT」の効果を最大限有効に活用しています。
「Uni-Q・ドライバー」技術が高く評価されている理由の一つは、ツイーターをミッド / ベース・ドライバー内に配置している、いわゆる同軸構造です。
単一点音源設計であるため、リスニングエリアが広く、部屋全体にサウンドを均等に分散して、リスニングポイントに縛られないで楽しむ事が出来ます。
◆「Q-Concerto」にはハイエンド・モデルの「Blades」や「Rシリーズ」で使用されている柔軟なデカップリング シャーシを採用。
ミッドレンジ モーターを「Uni-Q・シャーシ」から分離することで機能し、振動がキャビネットに伝わって音に不要な色付けを加える前に分散します。
これは、非常に優れた技術であり、スピーカーをまったく新しいレベルに引き上げる事に成功しています。
※「Concerto」という型番は1969年(55年前)に発売され、平面ウーファーを搭載して絶大な人気を誇った「KEF Concerto」のオマージュ・モデルとなります。
◆洗練されたクロスオーバー(全モデルに搭載)
もう一つの大きなアップグレードは、内部の改良されたクロスオーバーです。
KEFのエンジニアリング チームは、英国にある無響室で特注のマイク・アレイを駆使して、各モデルについて 1,000を超える組みあわせの測定を実施。
これにより、各モデルの音響相互作用を学習し、それらの測定に基づいて正確なクロスオーバーを設計、信号パスが最適化され、最高のパフォーマンスが得られます。
この時間のかかる高度なプロセスの実施は、新製品ごとに実施されており、常に改善することに、KEFがどれだけ熱心に取り組んでいるかが分かります。
◆より良い低音の為に ※「QConcerto」「Q6」「Q7」「Q11」に搭載
低音性能を向上させるため、フロア型「Q11」「Q7」、ブックシェルフ「QConcerto」、センター「Q6」を2.5ウェイ設計から3ウェイ設計にアップデート。
これにより「Uni-Q」ドライバーが高音域と中音域を処理し、新しく設計された低音ドライバーが低音域を担当します。
「Qユニット」から低音域の負担を取り除く事で「Qユニット」は高音域と中音域でより優れたパフォーマンスを発揮できる設計が可能となっています。
そのため、これらのモデルは低音域を向上させるだけでなく、中音域と高音域のパフォーマンスを向上させてクリアな再現性を達成しています。
新しいベース・ドライバー(低域ユニット)は、ペーパー・コーン+浅く凹んだアルミニウム・スキンのハイブリッド構造で、正確なピストン運動を実現するための剛性を獲得。パンチ力とスピード感を向上させます。
バスレフポートには、数値流体力学でモデル化されたフレア・ポート設計により、乱流を最小限に抑え、チャッフィングを減らして、よりクリーンで制御された低音を実現しています。
◆シャドウフレア搭載 ※「QConcerto」「Q6」「Q7」「Q11」に搭載
「シャドウ フレア」と呼ぶ新しい領域は、基本的にツイーターの延長導波管として機能する滑らかな遷移面です。
ツイーターのサウンドはキャビネット回折から解放されて、「シャドウ領域」が形成され、サウンドの明瞭性をさらに高めます。
これたのモデルは優れた高周波分散性能を向上してクリアな高域再現性を実現しています。
◆担当者より
KEFのエントリーシリーズの「Qシリーズ」が大幅にグレードアップして新発売されました。何と言っても「MAT」マテリアルが搭載されたのが最大のトピックスですが、総合的な音質のグレードアップを達成しており、注目の製品と言えます。
フロア型や、ブックシェルフ型は勿論、センター、サラウンド、イネーブルドなど充実したラインナップが用意されています。どのモデルもオススメですが、特にペアで「10万円以下」で購入できる「Q1 Meta」はピュアオーディオへの入口として最適です。一気により本格的なハイファイの世界を体験したいのであれば「Q-Concerto-Meta」も有力な候補となります。
KEFの中でベースモデルとなる「Qシリーズ」に、上位モデルで養った革新的な技術「MAT」等が搭載されている事は本当に素晴らしい事です。
「MAT」マテリアルが搭載された、この「Qシリーズ」は、抜群のコスパを誇り、手頃な価格で優れたシステムを構築したい方にお勧めいたします。
外見からすると、今までの「Uni-Q」ユニットと変わりませんが、ユニットの後ろにコンパクトな「MAT」が搭載されています。
他の多くのブランドでも同様の効果を狙ってツィーターの後ろに筒状のデカップリングハウジング等が取り付けれているモデルがありますが、KEFの「MAT」は外見では一切主張せず、きっちりと仕事をこなしている点が見事と言えます!!
「MAT」マテリアルを見ると、意外と思えるほど薄く・コンパクト! 直径8cm程の円形です。内部は迷路の様な構造になっており、30本のチューブ構成、それぞれが異なる周波数を吸収するように設計されています。
この音響迷路は、ヘルムホルツ共鳴器のように機能し、ツィーターの背面から放射される不要な周波数を吸収・削減するように設計されています。このコンパクトな物体で不要なサウンドの99%を吸収・削減できるとは驚きです!!
「MAT」が搭載されたKEFのサウンドは、高域がクリーンで洗練されたものになり、透明感に溢れ、繊細さと精度が際立って向上します。特にピアニシモにおける楽器のディテールの再現性が上がり、サウンド全体を説得力のあるものに改善してくれます。
雑味や癖が無く、スムーズな鳴りっぷりで組み合わせるアンプを選ぶ傾向も無いため、広くお勧めする事が出来ます。
最新の「Qシリーズ」を聴くと、最新技術が生み出す、価格を超えた情報量の多さに、きっと驚くのではないでしょうか。