[ 2024年 8月 29日付 ]
こんにちは、ハイエンドオーディオ "ichinose" です。
約45年前の1979年に発売され、バックロードホーン専用筐体として人気を博したフルレンジスピーカーユニット「FE203Σ」。 今回ご紹介する「FE-203-Σ-RE」は、その「FE-203Σ」をベースに、当時の要素技術と現代の最新技術を融合して誕生したモデルです。
FEシリーズのバックロードホーン専用モデルの原点を現代の技術でリニューアルし、バックロードホーンの良さを最大限に引き出してお楽しみいただける特別限定生産ユニットです。
◆2層抄紙超叩解NUKP振動板
振動板はNUKP(※1)を主材料とし、2層抄紙技術(※2)を用いて製造しています。
基層は長繊維パルプと短繊維パルプの配合比率を適正に調整した超叩解(※3)NUKPと、マニラ麻とミツマタの混合により適度な内部損失を保有しながら嵩高構造による剛性を両立。
表層にはNUKPの短繊維パルプを配置し、振動板表面での伝搬速度を高めています。
バックロードホーンエンクロージャーを採用した初代「FE-203Σ」の太く張りのある音色をベースに、より実体感と立ち上がり感のある中高域と、重心の低い厚みのある低域の再生を可能にしました。
※1:ナデルホルツ未晒クラフトパルプ
※2:二層抄紙(特許取得済)とは、基層と表層の2層からなる一枚の隔膜を2段階で抄紙する独自技術です。
※3:超叩解とは、長繊維パルプと短繊維パルプを別々に叩解し、混合して紙にする製造技術です。
◆大型2ピースフェライト磁気回路
磁気回路にはΣシリーズ独自のΦ133mmフェライトマグネットを2層にすることで十分な磁束密度を確保し、ポール部を銅キャップで覆うことで電流歪を低減。迫力ある音楽再生を可能にしました。
◆アイレットをなくすことで中音域の歪みを低減
ボイスコイルのリード線をティンセル線に接続するアイレットをなくすことで、中音域の高調波歪みが低減されました。
◆ポケットネックダンパー
振動系3部品(ボイスコイル、ダンパー、コーン紙)を同一円周上に接着したポケットネックダンパーを採用し、ダンパーの形状と材質により直線性の高い振幅特性を実現しました。
◆金メッキ端子
入力端子にはファストン205タイプの低損失金メッキ端子を採用。
スピーカーケーブルの確実な接続を実現するとともに、音質劣化を防ぎます。
◆「FE-203」から始まったバックロードホーンスピーカーのクラフトブーム
ベースモデルとなる「FE-203」は1968年に発売されました。
発売当時はあまり知られていなかったそうですが、長岡鉄男先生に見いだされてその後のクラフトスピーカーの一大ブームへと繋がりました。
当初、長岡鉄男先生のリファレンスバックロードホーンにはナショナル製の「EAS-20PW」通称:ゲンコツが取り付けられていました。秋葉原の店頭の見切り棚で見つけて直感的に購入した「FE-203」は当時のユニットとしてはかなり大型のマグネットを搭載しており、ご自宅のバックロードにマウントされたのがその後の運命の始まりと言われています。
現代のバックロードホーンの源流となる強烈パワフル&ハイスピードスピーカーの誕生した瞬間となります。その後は、ご存じの様に長岡鉄男先生とフォスター(後のフォステクス)の二人三脚が始まりました。その後、伝説のBH「D-7」という20cmフルレンジを横に2つ並べたバックロードホーンが発表されました。
そして1979年に誕生したのが「FE-203」の強化モデルの「FE-203Σ」です。完全にBH指向で設計されており、二重磁石と強化された驚異的な駆動力を備えていました。
◆フォステクス・ユニットの末尾数字「3」「6」「8」は?
基本的にはフレームの形状と素材の違いです。 「3」=四角・メタルフレーム、「6」=四角・アルミダイキャスト、「8」=丸形・アルミダイキャスト 「FE-203Σ-RE」は「FE-203」「FE-204」「FE-206」「FE-207」等の歴代の四角フレームモデルと同じ取付ピッチで、基本的にはそのまま交換マウントが出来ます。
◆担当者より
「FE-203Σ」が45年ぶりに「FE-203Σ-RE」として数量限定で復刻いたしました。
先日お持ち頂いて現物を見せて頂きました(音は聴いていません)。外見は一見すると「FE-203Σ」と同じように見えますね〜。
歴代モデルと同様に「ウィザーコーン」も採用されています!!。
音質は基本的に「FE-203Σ」からの入れ換えを念頭にされているとの事で、並のユニットの常識は完全に越えたスペックとなっていますが、より実体感と立ち上がり感のある中高域と、重心の低い厚みのある低域の再生を可能にしています。
また、試聴時の音量も抑え気味でも違和感の無い使いやすいユニットになっているとの事です。
歴代の「FE-203」のスペック比較表となります。
マグネット重量は「203Σ」より軽いですが、フレームの剛性が上がっており総重量は4.08kgと最も重くなっています。
mo(振動板重量)は剛性アップで重くなっていますが、音圧レベル96dBに変化はありません。
f0(最低共振周波数)は45Hz→54Hzに変更されています。
高域側の特性が、16kHz→18kHzに改善されているのは最新モデルならではと言えます。
入力Wは表記の違いで「9W(定格)」「30W(Music)」と異なっていますが基本的に同等とお考えください。
Qo(共振先鋭度)は0.23と最も低く、完全にバックロード用に設計されたユニットと言えます。
「FE-203」「FE-204」「FE-206」「FE-207」等の20cm四角フレームのユニットと同じ取り付けピッチで簡単に交換出来ます。
バックロードキャビネット「D70」「D7MKk2-a」「D7MK3」「D3」等の入れ替えができます!!