[ 2024年 6月 18日付 ]
こんにちは。ハイエンドオーディオ "ichinose" です。
アキュフェーズのディジタル・チャンネル・ディバイダー「DF-65」から、7年ぶりのモデルチェンジとなる『 DF-75 』が発売されましたのでご紹介いたします。
まずは、アキュフェーズのチャンネル・ディバイダーの足跡を簡単にご説明いたします。
アキュフェーズのアナログ・チャンネル・ディバイダーは、1976年に初号機の「F-5」を発売。
進化を重ね、1999年にディジタル・チャンネル・ディバイダー「DF-35」を発売。
今回ご紹介する『 DF-75 』は、ディジタル・チャンネル・ディバイダーとしては5代目(アナログモデルも含めると11代目)となります。
アキュフェーズの歴代のチャンネルデバイダー
・1976年「F-5」初代のチャンネル・ディバイダー。ラックマウントタイプもありました。
・1981年「F-15」各チャンネル別にレベルコントロール機能が付いて、使いやすくなりました。
・1987年「F-15L」シャンパンゴールド仕上げのアンプに対応。
・1992年「F-25」オプションボードが前面取り付けタイプとなりました。
・1997年「F-20」2way専用モデルの価格を抑えたシンプルな設計。
・1999年「DF-35」最初のディジタル・チャンネル・ディバイダー。標準は2way。
・2001年「F-25V」最後のアナログ・チャンネル・ディバイダー。
・2005年「DF-45」現在のデザインの礎となった4way対応モデル。
・2011年「DF-55」ディジタル技術の進化に合わせた高速DSP搭載。
・2017年「DF-65」高速40bit浮動小数点演算タイプDSPを搭載。
◆『 DF-75 』の概要
4チャンネル(4Way)を標準装備。「高速64ビット浮動小数点演算タイプDSP」を搭載し、理想的なフィルターを実現しています。
また、従来59ポイントであったカットオフ周波数を何と3101ポイントへと大幅に増加し、あらゆる多様なニーズに対応しています。
さらに、96dB/octaveの急峻なスロープ特性を実現。加えて、0.5cm単位でタイム・アライメントが可能なディレイ機能や、フィルター回路通過時の遅延時間を自動補正する「ディレイ・コンペンセーター」を装備。
ディバイダー・ユニットごとに「モノフォニック仕様」への変更も可能です。
◆『 DF-75 』の主な特徴
■高速・高精度演算DSPを搭載したフル・ディジタル信号処理のチャンネル・ディバイダー
■4チャンネル(4Way)のディバイダー・ユニットを標準装備
■豊富な「3101ポイント」のカットオフ周波数を内蔵
■急峻な「96dB/octave」のスロープ特性を搭載
■スピーカー・ユニット間の遅延時間を調整する「ディレイ機能」搭載
■フィルター通過時の遅延を自動補正する「ディレイ・コンペンセーター」搭載
■ANCC採用4回路並列駆動A/Dコンバーター搭載
■ANCC採用4回路並列駆動「MDS+」D/Aコンバーター搭載
■「モノフォニック仕様」への変更が可能
■音質を重視した極太OFC導体5芯構造の電源コード「APL-1」を付属
◆各チャンネル別に各種設定が出来ます。
「FUNCTION」で機能切替、「VALUE」で各機能のパラメーター切替。センターユニットではディバイダーユニットの設定を5種類までメモリーが可能。
◆自然木を使用し艶やかな本木目仕上げのサイドパネル
内部配線もとても丁寧に設計されていて大変美しいです。(内部が綺麗な製品は音が良いのは間違いありません!!)
◆ディレイは0.5cmステップで左右個別設定可
設定範囲:-3000〜+3000cm(時間を距離に換算、0.5cmステップ)
◆フロントおよびリアパネル
◆担当者より
昔のアナログ・チャンネル・ディバイダーは、別売りの周波数モジュールを購入して組み込む方式で、自由度が少なくてチューニングが大変したね〜。
ディジタル・チャンネル・ディバイダーになってからは、各ユニット別に設定が自由に細かく出来るため、別売りのユニット購入の必要はなくなり、様々なことを試すことが出来るようになりました。
最新のディジタルモデルは、ディジタル初期モデルで感じた、ディジタル機器の弱点は完全に解消されており、おすすめいたします。
驚異的なS/Nとダンピングファクターを誇るアキュフェーズの最新プリ・パワーアンプとの組み合わせにも対応しています。
現在ではマルチチャンネルシステムをお使いの方はかなり少なくなっていると思いますし、チャンネル・ディバイダー機器もほとんど開発されていないのが実情ですが、そんな中でアキュフェーズの新製品は大変貴重で…さすがアキュフェーズですね。
前作の「DF-65」が2017年に発売されたときに「これが最後か…」と思っていたので、『 DF-75 』が発表されたときは驚きましたし、感心いたしました。
筆者も、お客様のマルチシステムのセッティングを何度もお手伝いしたことがあります。もちろん、マルチシステムは一筋縄では完成しません。
最初は内蔵ネットワークのスペックを参考にセットして、そこから少しずつ調整とチューニングを繰り返す必要があります。
アナログ時代は調整の幅が少なく、それは大変でしたが、ディジタル・チャンネル・ディバイダーはクロスオーバーやカットオフまで自由に設定が出来ますし、メモリー機能を使うことでセッティングを効率的に追い込む事が出来ます。
ネットワークの介在しないパワーアンプダイレクト駆動の世界は、別次元といえます!!(いろいろな意味で良いか悪いかは別の問題です…)
◆前モデルの「DF-65」からの変更点(新規・改善)をまとめてみました。
アキュフェーズの他の最新機種に搭載された様々なノウハウを集結して開発された製品といえます。
■ADコンバータICに「DG-68」に採用されていた「AK5578」(旭化成エレクトロニクス)を使用。
アキュフェーズの特許技術「ANCC」も採用されており、アナログ入力の性能を改善。S/Nを1dB改善(116dB→117dB)。チャンネル・セパレーションを2dB向上(108dB→110dB)。
■DAコンバータICには「DP-770」に採用されていた「ES9028PRO」(ESSテクノロジー)を4並列動作。
「ANCC」も搭載して、セパレーションを大きく改善。S/N比は同等の最高123dBながら、チャンネル・セパレーションは5dB向上(105dB→115dB)。
■カットオフ周波数の設定が超絶に細かく出来るように。
DSP内部での高精度な演算により、カットオフ周波数を59ポイントから3101ポイントに拡大し、設定の自由度が大幅に向上しました。新しいDSPに「ADSP-21565KSWZ10」(アナログデバイセズ)を採用。DSP内部でフィルタ係数を演算し、周波数を細かく設定できるようになっています。10.0Hz〜99.9Hz間(0.1Hz刻み)、100Hz〜999Hz間(1Hz刻み)、1000Hz〜9990Hz間(10Hz刻み)、10kHz〜50kHz間(100Hz刻み)。
■アキュフェーズの歴代の4wayチャンデバは、MONOモードにして2wayで使用するとD/Aコンバーターの並列動作により、更に性能が向上します。(DF-55、DF-65、DF-75)
2wayシステムをお使いの方にもその性能をフルに発揮してくれるお勧めの機能となります。